特集2 郊外のプレーパーク いま これから を語り合う

特集記事を企画するにあたって、郊外の2か所のプレーパーク「子どもたちの森公園(千葉市)」と「せりがや冒険遊び場(町田市)」で見学・交流をしました。プレーパーク主催者の言葉には、コロナ禍の実情とこれからの願いがあふれていました。

1,「千葉市子どもたちの森公園」のいま・これから

千葉市子どもたちの森公園常勤プレーワーカー 相澤孝紀(通称:めがね)

子どもたちの森公園 リーダーズハウスと掲示板

千葉市若葉区にある「子どもたちの森公園」(通称:こどもり)は、その名の通り森の中の公園。千葉県に2か所しかない常設型プレーパークのうち1つです。舗装されていない山の中、誰かが掘った穴で凸凹とし、混沌・雑然としたプレーパークです。ちょっと不便な立地にあり、なんとなく散歩しているだけでは辿り着けない……そんな不自由さが楽しい場所なんです。

コロナの影にビビりつつ、それでも遊び場開催を続けた2020年。緊急事態宣言が明けた6月の来園者数は前年度比約50%と大きく落ち込みました。ところが11月には創園以来の月間最多来園者数(前年度比150%)を記録。えー!マスクしなきゃいけないし、焚火でお芋も焼けないし、泥を触ってないのに手洗いしなきゃいけない。そんな制限だらけのこどもりなのに、今までで一番人が多いなんて……

フィールド無限大!

アウトドアブームになったコロナ禍中。どうやらプレーパークも乗っかっているようで、「無料」の「屋外」遊び場として人が増えているみたい。ということは、「自然の中でのびのび過ごしてほしい」「プレーパークがいい」というキーワードじゃない来園者が増えている!?
ふと周りを見渡すと、おや?今まで来ていた子どもたちは??大人がうるさくないから遊びに来ていた子たちは?今までずっと遊びに来ていた子たちは肩身が狭そう。多くの来園者が来ると常連たちは園外へ出て行き、夕方人が減った頃に帰ってきて遊び始めるなんてことも。

飛ぶってこういうこと!

外遊びがサービス化してきているのでは?ここ最近はより強くそれを感じるように。ネットの口コミで「係の人がいる公園」高評価◎……フクザツな気持ちです。もちろん多くの人が遊びに来てくれる状況はありがたくもあります。この機会に、今まで届かなかった人たちへ、「プレーパーク」という言葉や「子どもは自分で解決できる」「遊ぶ中で自ら育つ力があるんだぜ」っていう子ども観を伝えたい。

こどもりは「子どもの居場所事業」という名目で千葉市から業務委託を受けてプレーパークを開催しています。自分の理由(=自由)を大切にして行為を決められる場、それがこどもりだから居場所になるのに、「無料」「屋外」「ガイド」を求める「外遊びサービス」を受けに来ている人たちに押されて夕方まで姿を消さざるを得ない、そんな状況にモヤモヤ・・・

こどもり単体として、常連たちが遊び込み居場所を作れる余地と、初めて来た人でも取っつきやすい遊び場の雰囲気づくりの両立が難しいけど大切。子どもたちの遊びの火が大人に占拠されてしまったり、「貸してみ」とノコギリを持ち全てを作り上げてしまったり、1か月かけて作り上げた子どもの秘密基地に「公園だから一見さんにも入る権利はある」と乗り込んでみたり。そして、もっと社会の中にプレーパーク的な外遊びの場所や考え方が一般化したら、こどもり単体で解決する必要もなくなるのになぁ。

2,「せりがや冒険遊び場(通称:せりぼう)」のいま・これから

NPO法人 子ども広場あそべこどもたち 代表理事 大野 浩子

「せりがや冒険遊び場」(以下「せりぼう」)は、町田駅から徒歩圏内にある芹ケ谷公園の斜面地の林を切り拓いた遊び場です。運営費は市の補助金だけでは賄えず市民がボランティアで年間250回の開園と法人運営を支えています。

せりがや冒険遊び場(せりぼう)(町田市)
斜面に覆われたせりぼう・そんな竹林をおもいっきり楽しむ

コロナ禍前と比べ来園者は1.5倍に増え、今年度当初の2ケ月間(43回)では1万人越え。多くは休日に集中し、半数近くが市外から訪れる家族連れ。その対応にコロナ禍ゆえの対策が加わり、私たちを必要とする子どもや親子にゆっくり向き合うことができないというジレンマを抱えています。それでも屋外という環境に助けられ、人数制限による来園停止や完全な食の禁止をせず、焚火やウォータースライダーなどもできています。

2019年よりスタートした保育士常駐の屋外型子育てひろばには、コロナ禍ならではの理由から利用するようになった親子も増えました。コロナ禍で始めた月1回の表現イベントでは、子どもから大人までの多様な出演者に加え、観覧をきっかけに新たな層が訪れるように。不登校の子どもたちの来園も増えていて、ここが居場所になってくれたらと願っています。

思い思いに遊び、過ごす中から、こぼれる呟きに耳を傾け、時に一緒に怒り、笑う。それはコロナ禍であろうが私たちにとっては変わらない日常です。冒険遊び場がなければ何も始まらず出会いもなかったでしょう。これからも多くの可能性を秘めた地域の拠点だと思っています。

屋外型子育て広場・予約もなく過ごせる親子の居場所へ

せりぼうの「これから」を考えると、子どもたちに直接関わるプレーリーダーの存在は現場の肝。そのプレーリーダーの動きを支えるスタッフは、現在の社会状況からみても無償では増えない。運営に至っては何もかもが持ち出し。これは、何十年経っても変わらない、そしてどのプレーパークも抱えている課題です。行政も必要性は認めていても肝心な資金面での支援が足りない。子どもたちが遊び・育つ環境の維持には、ボランティアのやりがい頼みではなり手がいない。仕事として自信をもって働ける場になって欲しい。活動歴の長い団体は避けては通れない「世代交代」を考えてみても、人件費への実態改善が急務であると思います。

また、「遊ぶ」と同様に長く大切にしてきた「作って食べる」ことを再開したいと願っています。さらに、平日と休日の違いに振り回されない場の工夫や、高齢のナラ枯れ被害とカエンタケの発生への対策も必要です。来訪者をカテゴリーで分けず、多様性に満ちた地域社会で子どもが育つ拠点の必要性を今後も訴え続けていきたいと考えています。

相澤 孝紀(あいざわ たかのり 通称:めがね)

千葉市子どもたちの森公園(通称:こどもり) 常勤プレイワーカー
NPO法人プレイフルエンタープライズわかば 代表理事
一般社団法人千葉県冒険遊び場ネットワーク理事、研修講師
2019年度日独青少年指導者セミナー(文科省)日本派遣団員
2008年より「千葉市子どもたちの森公園」という常設型プレーパークで勤務開始。2014年に仲間達が頑張ってNPO法人を立ち上げ、2017年に代表理事にちゃっかり就任。2020年に「(一社)千葉県冒険遊び場ネットワーク」を仲間とともに立ち上げ、千葉県にもっと遊びを広げるべく活動している。裸足が好き。

大野 浩子 (おおの ひろこ)

NPO法人 子ども広場あそべこどもたち 代表理事
民地での「三ツ又冒険遊び場たぬき山」(1999年~2014年)の活動に2001年より参加。2007年より代表。2014年9月より現在の場所で「せりがや冒険遊び場」を週5日間開園。子どもたちがやらかしているのを薄目で眺めているのが好き。