【書評】まちづくり仕組み図鑑

この本を手に取ってまず感じたことは、まちづくりの事例をこんなにも分かりやすく説明しているものは初めて見たなぁというものでした。本のレイアウトや見やすさはもちろんのこと、関わった人の関係図や資金の情報も掲載されていることに驚きました。僕もまちづくりに関わることがありましたが、始める際に「誰に相談したら良いか」「どのくらいの資金が必要であるか」など、次から次へと不安になったことを思い出します。そんな時、インターネットで検索するよりも、まずこの本を手に取ってみてよと勧めたくなる本です。

 

内容は3部構成で、1部は「地元ぐらしについて」、2部は「12の事例」、3部は「まちづくりの進め方」に分かれています。何か始めたいけど具体的なイメージがない方は2部から、すぐに何か始めたいという方は3部から読み進めるのがオススメです。

 

紹介しているまちづくりは12事例あり、そのうち、こどもが深く関わっているものは3事例ありました。

・自分のこどもの居場所を作るために始めた駄菓子屋が、地元の仕事を繋ぐ場となっている事例

・写真屋さんが始めた保育園が、利用する公園の管理を請け負うことで地域とつながる事例

・DIYショップによる工作教室が人のつながりを生み、マルシェやレンタルスペースへ広がった事例

どの事例も偶然の出会いを力に変えた様子(セレンディピティ)がよく伝わってきます。

そして僕のお気に入りのページは、「地元の「かかりつけ医」になる」というところ。ずっとそんな思いで研究やワークショップをやってきたので、何回も読み返しました。地元で何かしたいっと考えている人もきっとお気に入りのページが見つかるはずです。

 

(福井大学 西本雅人)

 

書名  まちづくり仕組み図鑑 ビジネスを生む「地元ぐらし」のススメ
著者名 佐藤将之・馬場義徳・安富啓(日経アーキテクチュア編)
発売日 2022年9月
価格   定価2,400円(税抜)
ISBN  978-4-296-11295-1
版型  A5判
ページ数  208ページ
出版社  日経BP
リンクURL https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/07/28/00300/