今年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した『怪物』（監督：是枝裕和・脚本：坂元祐二・音楽：坂本龍一）を推薦したい。残念なことに映画のTVのプロモーションがその内容を正確に伝えていないために、充分な理解を得られないままカンヌでの評価ばかりが話題に取り上げられてしまい残念な結果となっている。本作は学会がこれまで大切にしている‘こどもとこどもを取り巻く環境‘について問題提起をしている好作品である。ネタバレになってしまうので内容を詳しく記すわけにはいかないが、これをご覧になる皆さんのこどもに対しての立ち位置によってさまざまな感想が得られることは間違いがない。
‘怪物‘というタイトルが示す、思春期をむかえるこども、こどもへのDVや親の養育、教師や学校、その他多くの課題について本作はこうあるべきだという答えを示してはいない。それだけ今日の社会は複雑な問題をはらみこどもにとって優しくない状況かもしれない。たとえそうであったとしても、私たちは目の前のこどもに何ができるのか考えて歩みを進めたいものである。
（聖徳大学 神谷明宏）
■キャスト：安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 / 高畑充希 角田晃広 中村獅童 / 田中裕子
■監督・編集：是枝裕和『万引き家族』
■脚本：坂元裕二『花束みたいな恋をした』
■音楽：坂本龍一『レヴェナント:蘇えりし者』
■企画・プロデュース：川村元気 山田兼司
■製作:東宝、ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.、分福
■公式サイト：gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/
■公式twitter：@KaibutsuMovie
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