デジタルネイテイブの乳幼児のデジタル環境の配慮と可能性を考える
乳幼児のデジタルツールというと、デジタル=スマートフォンというイメージもあり、実際にスマフォを乳児に見せるスマフォ育児が子どもの発達に与える影響がよく言われます。
OECDが2023年に刊行したStarting Strong Ⅶ「デジタル時代の乳幼児のエンパワーメント」では、5つの重要課題として、「1.乳幼児をデジタルリスクから守る,2.デジタルの分断を減らす,3.乳幼児の早期デジタルリテラシーの育成,4.子ども・家族との質の高いやりとりの充実,5.実践プロセスと質保証の支援」が挙げられています。しかし、デジタルツールを賢く使うことで、子どもたちの感性や感覚をたかめるような使い方を行う実践も国際的にも拡大しています。
私が今関心を持っているのは、乳幼児の自然とデジタルとの関係です。自然の美しさをきれいと思って感じた時に、乳幼児でもデジタルカメラやI-PADで写真撮影することができます。そこには、子どもの心のときめきや驚き、発見が写しされて保存され、再生可能になります。それが他者との情動共有のツールにもなります。
また花や葉っぱがきれいと感じるだけではなく、その花びらや葉脈を電子顕微鏡で大写ししてみることで、そこには目に見える美しさだけではなく、目に見えない美しさとして、美しい細胞の規則性が見えてきたりもします。またそれによって葉っぱの葉脈をみて葉っぱに欠陥が通っていると自分の身体と葉っぱを重ね合わせてとらえようとしてみたりします。
それは子どもの想像性をさらにひろげていくことにもつながります。それは昔寺田寅彦や中谷宇吉郎が粉雪の美しさはさらに虫眼鏡でよくみると六角柱の美しさにつながるといったように自然の摂理の美しさを感じ、見えないものが見えることでより本質的な世界にいざななうことができるとのべたのとおなじ世界が生まれます。
また文化的にも神輿を作ろうとある子が言ったときにそれをネット検索しておみこしの写真をみることからおみこしの飾り作りが生まれ、より本物にちかいものをつくりたいと実際に地域のおみこしをに行ったり。おみこしだけではなく提灯があった、屋台がったとさらにそれはアクチュアリ帝の現実世界へといざなう一つの契機にもなります。
大事なことは、インターネット世界の消費者に子どもをするのではなく、創造者、表現者として使う使い方を子どもができるようになっていくことです。折しもイタリアのレッジョエミリアの展覧会「ぼーだー クロッシング:子どもとデジタルと自然」が1月18日に東京イタリア文化会館で開催され半年間日本各地で公開されます。一緒に対話しながらデジタルと自然の関係を語り合えたらいいですね。
秋田 喜代美(あきた きよみ)
学習院大学文学部教授。子どもの自然との出会いや探究に関心を持ち共同研究を行っている。関連著書に『ICTを使って保育を豊かに: ワクワクがつながる&広がる28の実践 』(共著、中央法規出版、2022)