あそびのまち社 みえけんぞう
キーワード:こどものまち/社会教育/民主主義と資本主義/自治教育/協同学習
「こどものまち」とそれを取り巻く世相から見えてきたこと
原寛道さんからバトンをいただいた、栃木県小山市在住の堀達哉、みえけんぞうです。
ミニミュンヘンを模した遊びのプログラム「こどものまち」の先駆けとされる千葉県佐倉市で行われていた「ミニさくら」で中村桃子と出会い、2008年から共に「こどものまち」支援を目的としたNPO、あそびのまち社として各地の方と親交を続けてきました。
こども環境学会へは、千葉市で行われた2009年大会の事務局長を務めさせていただいたことがあります。また、その時初めて行われたこどものまちCBTは、今では千葉市の公式な「こどものまち」として続けられていますこと、嬉しいです。
私自身は、20年の市民活動支援の後、東京の児童館で2年間ほど指導員をし、この直近の3年間は地元の教育委員会に勤めて、改めて子ども達と社会のあり方、子ども達と学びのあり方を見つめ、場面を作ってきました。
萌文社から「こどものまち」の専門図書「こどもがまちをつくる」を刊行して以来、おかげさまで各地の方から「こどものまち」のお話をさせていただく機会をいただいてます。
ただ、ここへきて少し潮目が変わってきたのを感じます。具体的には「職業体験」を強く意識する保護者や、「参加費を払うのだから対価に見合うサービスを提供してほしい」と言う保護者がじりじりと増えてきていることです。
背景には企業が提供する職業体験プログラムの「こどものまち」スタイルのものが広がりを見せていることや、キッザニアのような総合的な職業体験アトラクションが出てきていることがあるのだと思います。
「子ども達の職業体験」の重視が悪いわけではもちろんありませんが、「子ども達が自分たちで物事を決め合う」と言う自治の体験をいかに具現化するかに腐心してきた我々「こどものまち」の主催者としては、その一部を切り取って提供するわけにはいかない背景があります。
私たちの社会が一面では競争社会でもあり、少しでもより良い知恵をさずけたい保護者の願いもわかります。俯瞰の目で見ると、私たちは「民主主義」と「資本主義」の2つの国是を持つ日本国で生きており、民主主義教育と並んで、やはりきちんと足元から資本主義のあり方、素晴らしさ、怖さを学ぶ、総合的かつ複合的で息の長い教育体系もまた必要だと改めて感じています。
もう少し直裁的に言うならば「待つことや意見の違いや支え合いを尊ぶ民主主義のあり方」と「少しでも多く力を持ち、少しでも早く利益を確保することを良しとする資本主義のあり方」との目指す目標が全く異なる二つの価値観の相剋を乗り越える、複眼的な視野を持つ教育が今こそ求められているように思うのです。
民主主義教育に対する知見の蓄積がそれなりにしっかりと見られるように、資本主義に根差す価値観の範疇でも、金融教育や投資教育、消費者教育に留まらない、そうした体系的な学びの場をどのように具現化するかを、私たち「こどものまち」界隈でも、もう少し議論を深めてみようと思っています。
ミニさくらの大工工房ブース.jpeg)
こどものまちの話し合い.jpeg)
みえ けんぞう
1967年生まれ、あそびのまち社共同代表。工業デザイナーを起点に企業支援とNPO支援の半生の道すがら、地域公共交通活性化の全国運動に参加し本邦社会における企業と自治の課題に直面。「ミニさくら」の中村桃子と出会い2007年の全国こどものまち主催者サミットで各地の子ども達の自治への挑戦と多様性にシビれ、いまも各地の活動をヨコに繋いでいる。都内の児童館指導員、栃木県小山市の教育委員会勤務を経て、現在は同市の勤労者福祉、勤労青少年福祉を旨とする外郭団体職員。